無事に。帰路は本当に無事に(苦笑)……帰ってまいりました! しばらく英国出張の記事にお付き合いくださいませ。

この日は出張の中休み。空き時間でテムズ川沿いにある近代美術館、へ。こちらの美術館が本当に大好きで、渡英する度に足を運んでいます(おそらく4回目)。

テムズ川沿いをテクテクと。イースター休暇と重なっていたため、たくさんの観光客の方で賑わっていました。快晴にめぐまれた今回の英国出張。景色は違えど、毎日、夕暮れのマジックアワーの景色が素晴らしかったです。今まではどんよりと曇っている肌寒い(or思い切り寒い)ロンドンしか記憶にないので、今回はロンドンの印象が思い切りアップデートされる新鮮な滞在となりました。

 
ゆらゆらと歩くこと30分。テムズ川をはさんで、セント・ポール大聖堂の向かいくらいの位置にあります。


テイト・モダンは、バンクサイド火力発電所をスイスの建築家集団ヘルツォーグ&ド・ムーロンがリノベーションした美術館です(コンペの最終候補には安藤忠雄さんも残っていたとか)。彼らの設計は、東京であれば表参道のプラダ青山店が有名です。

20世紀初頭に建築家ジャイルズ・ギルバート・スコット卿によって設計された(前回紹介したセント・パンクラス駅の設計も彼によるもの)発電所は、ロンドンのテムス川沿いの大切な光景を彩ってきた歴史ある建物。その外観を生かしたまま、大改修された美術館なのです。

1階から見上げたところ。圧巻の天井高です! 5階分が吹き抜けになっています。目を閉じると、産業革命後の大英帝国の繁栄が浮かんでくるような!?

いつも一歩足を踏み入れた時、わかっているのに建物のもつ迫力に圧倒され、息をのんでしまいます。

4階から見下ろしたこちらの光景が、いちばん好きかもしれません。
とにかくディテールを見ていてまったく飽きることがありません。
こちらの階段の曲線にもウットリです。


ダリやピカソなど、所蔵されている作品ももちろん豪華ですが、私はこの建物を観てまわるだけでも充分に楽しめると思っています。特別展示以外の、定期的に入れ替えられる常設展示部分は入場無料(寄付制)。テムズ川とその対岸を見下ろせる展望台も入場無料。眺望抜群のカフェやレストランも併設されていますので、食べ歩きや買い物、観光に疲れた際、ボーッと過ごしたい方にもオススメかと思います。ちなみに、ミュージアムショップのアート関係の写真集のラインアップも素晴らしいです。

この日は、大好きなの若かりし日の作品をまとめた展示が! HPに告知などが出ていなかったため、「なんともラッキー!」と思いっきり長居。展示の突き当たりで上映していた、彼女自身が写真のスライドと音楽を編集した映像を1時間近く眺めてしまいました。
特別展はボナール。ナン・ゴールディンで時間を使いすぎて駆け足になってしまいましたが、「風景作品だけじゃなかったのか!」と私にとっては新しい発見が多い展示でした。この日は週末だったため22時までオープン。日本も、これくらい遅くまで展示を観られたら会社帰りに立ち寄れるんだけどな、と思ったり。



イギリスが大発展を遂げたであろう時期の発電所のインダストリアルな佇まいを思いっきり残したまま、内観は大胆なまでにモダンにリノベーション(とはいえ、コンクリートの無骨な力強い質感がいい!)。「取り壊さずに生かす」建築のあり方を、ウットリしつつもとても羨ましく思うのです。

私の思考は、来年オリンピックイヤーを迎える日本の都市開発へ飛躍します。

ロンドン五輪(2012年)の開催が決まったのが2005年。テイト・モダンは2000年のオープンだったため、五輪の都市計画に沿ってリノベーションされたものではないのですが……「後世に続く持続可能である都市開発になる」という意味がこめられていたロンドン五輪の開発テーマ「レガシー(遺産)戦略」。それは街のいたるところで感じる「古きものこそ良きものかな」という思いに通じていたのだな、と。ゆえに、私は「栄華を極めた歴史に対する誇りの表れよ」とテイト・モダンを見上げながら、しみじみと思うわけなのです。

古いものは時間の経過でますます味になるのに、最先端のものってちょっとした時間の経過で途端に古臭く見えるものなんだよなぁ、と(これは、建築物だけでなくファッションでも同じですね)。もちろん、気候や風土、それによる建築物に使う主要素材の違い、地震の有無……など建築における諸条件が日本とは違うので一概に比べることはできませんが、スクラップ&ビルドを繰り返し続ける現在の東京の在り方には、ちょっと寂しさを覚えてしまうのです。



東京五輪のテーマは、「自然との共生」。どうぞ、未来へ続く永続可能な都市開発となりますように!