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28歳から白髪に……加藤タキさん「試行錯誤を経てたどりついたグレイヘアの答え」

2018年の流行語大賞にノミネートされたこともあり、認知度が一気に高まった「グレイヘア」。「どう染める?」「どう隠す?」から「染めない方法」「白髪を生かしたスタイル」へと移行する女性が増えており、テレビや雑誌でもグレイヘアの特集が数多く組まれるようになりました。
今回はグレイヘアをいち早く取り入れた加藤タキさん(73歳)に、グレイヘアに至る経緯やお手入れの仕方をうかがいました。

 

 

「白髪との付き合い方」を
模索していた20〜30代

 

白髪が目立ち始めるようになったのは28歳の頃、45年も前の話です。白髪が生えてくるのが早く、大いにとまどいました。頭頂部の分け目あたりが白く目立つようになり、美容室で髪を染めてもらっていました。当時の染色剤は今ほど良質ではなかったですし、カラーも黒1色。でも白髪を染めるといえば、この方法しかありませんでした。

月に1度白髪染めをし始めたら頭皮は痛み、髪のツヤも無い……とてもじゃないけれど健康な髪とは言えない状態でした。アメリカに住む友人からヘナの情報を教えてもらい、実際に試したものの、これもダメ。枕が汚れたり、汗をかくとヘナが落ちてきてシャツの襟が黒く染み付いてしまうなど、何かしらの不具合が生じる。白髪のストレスが生活の様々に影響を及ぼし、「どのように白髪と向き合うか」と常に考えていました。子供を産んで忙しいときは白髪が目立たないようにパーマをかけたり、メッシュを入れたり、ウェットな仕上がりになるスタイリング剤を使ってみましたが、これという解決策はなかったですね。

 

白髪ヘアを受け入れる
転機はある女性の一言だった

 

そんなある日、仕事でアメリカへ行った時にエレベーターに乗り合わせた外国人女性が、私の髪を見て「ベリーナイス、メッシュ!」と褒めてくれたんです。「えっ?今何ておっしゃったの?」って私がびっくりしました(笑)。どこのどなたかも存じあげませんでしたが、この一言が本当に嬉しかったですね。アメリカにはいろいろな人種がいて、目、肌、髪の色もさまざまでしょ。自分に似合うファッションやメイク、ヘアスタイルを積極的に取り入れ、「自分らしさ」を上手に表現している。

その一方、私たち日本人は「黒髪」にこだわる人がまだまだ多く、私自身も「白髪=隠す」と思い込んでいた節もありました。ですが、これは「私らしくない」と感じたんです。黒髪でなければならないこともありませんし、私のスタイルを褒めてくださる方もいる。これを機に、白髪ヘアが本格的になる70代〜80代を気持ちよく迎えるために、「どうありたいか」を考えるようになりました。そして一切染めなくなったら、新しい自分に出会えたのです。45歳頃のお話です。

加藤タキさんのヘアスタイル変遷(左から)44歳、55歳(撮影/長濱治氏)、60歳

 

おしゃれの幅も広がった
ウイッグスタイルも「アリ」な時代

 

実は今日はウイッグを使用したスタイルなんですよ。自然でしょ?黒髪と白髪のバランスを考慮し、白のメッシュを全体に入れたのウイッグです。ウイッグを使うようになってから20年近く経ちますが、使い始めるきっかけを作ってくれたのは、息子との会話からでした。
家族で散歩をしていた時、まだ小学生の息子が私の頭を指差して「天使の輪が(私の)頭にある」と言ったんです。白髪が伸び始め、頭頂部からサイドにかけて白く見えるところを天使の輪っかのようだと。うまく言い当てていましたね(笑)。

グレイヘアの移行期をどのように乗り切るかは人それぞれですが、人毛ではなく、かなり手頃な価格の今のウイッグは、軽くてオシャレ。フルウイッグにしてしまえば、帽子と同じです。非常に便利ですよ。もちろん、専用のシャンプーで洗ったり、専用のミストを活用したり、定期的にメンテナンスを行うことも大切。多少の手間はかかりますが、ウイッグを愛用するようになってからは、気持ちがとっても軽くなりました。

そして何よりもグレイヘアになってからオシャレの幅が広がりましたね。まずはビビットな色の服が似合うようになったこと。また、黒色をより艶っぽく着られるようになったのも嬉しいことね。それに合わせてターバンやスカーフ、ベレー帽などの小物を使うようになりました。
また、赤い口紅が以前よりも好きになりました。落ち着いたトーンの赤よりも鮮やかなレッドの方が好み。リップペンシルを使って丁寧に輪郭を描いています。

加藤さんのグレイヘアのホームケア方法


毎日のお手入れ法ですが、実は白髪になってからの方が真面目に行うようになりました。基本は日本ロレアルの「ケラスターゼ」のシャンプー、洗い流さないトリートメントを愛用中。

ブランド最高峰シリーズ。頭皮を優しく洗いながら保湿するシャンプー。 ¥4000(税別) 髪にツヤと潤いを与える、洗い流さないヘアトリートメント。 ¥5500(税別)/ともにケラスターゼ お問い合わせ先/ tel. 03-6911-8333


白髪が黄色に退色すると汚く見えてしまうため、ロレアルの「セリエ エクスパート」を使用。今、話題になっている「青色」のシャンプーを時々使うと、黄味も抑えられ、白髪にツヤが出るんですよね。

ダメージで退色してしまった黄色を青みで補正。 ¥2200(税別)/ロレアル プロフェッショナル お問い合わせ先/お客様相談室 tel. 03-6911-8321


月に1度、ヘアサロンでカットをしてもらいます。染めていた頃と比べると髪のダメージは無くなりました。


髪色が白くなっても、髪の「ツヤ」と「ハリ」は見た目印象を左右する大切な要素。年齢を重ねたら、ヘアケアに投資すること。大人の「やることリスト」に挙げたいですね。

加藤タキさん1945年東京生まれ。米国留学後、米国報道誌の東京支局勤務を経て、ショービジネスの世界へ。オードリー・ヘップバーン、ソフィア・ローレンをはじめ海外スターのCM出演交渉や音楽祭などで、国際間のコーディネーターとして先駆的役割を果たす。現在は、講演、TV出演、各種委員、著述など幅広く活動。女性初の国会議員で104歳の天寿を全うした母・加藤シヅエの精神を語り継ぐことを、使命の一つとしている。AAR Japan[難民を助ける会]の副会長をはじめ、ボランティアにも精力的に励む。『加藤シヅエ104歳の人生』『「愛・仕事・子育て」すべてが生活』『』など著書多数。趣味は67歳から本格的に始めた社交ダンス。
撮影/YOLLIKO SAITO
取材・文/長谷川真弓
構成/片岡千晶(編集部)

 

第1回「ブームの仕掛け人に聞く、「グレイヘア」という言葉が生まれた意外な事情」はこちら>>