12月に発表されたばかりの日本財団の「18歳意識調査」では、「学校の性教育は役に立たなかった」と感じている人の割合が40.9%という結果に。さらに、4人に1人はセックスを経験しているなか、性の情報源として頼っているのは、ウェブサイト55.8%、友人50.2%という回答が明らかになりました。


やはり現状では、日本の学校の性教育に期待するのは難しいよう。同時にこの結果は、家庭での性教育が急務であることを示しているとも言えそうですが、とはいえ実際は、子どもに対して何をどう切り出せばいいのか戸惑っている親は多いのではないでしょうか。


そんななか、さまざまなメディアを通じて、女性として、妻として、母として、社会の問題点を鋭く指摘し続ける小島慶子さんが、かねてより、お子さんたちに積極的な性教育を行っているという情報をキャッチ! 小島さんらしいユニークで率直な性教育について、お話を伺いました。

小島慶子 1972年、オーストラリア生まれ。1995年にアナウンサーとしてTBSに入社。バラエティー、報道、ラジオなど多方面で活躍。1999年にはギャラクシー賞ラジオ部門DJパーソナリティ賞受賞。2010年に退社後、2014年からは、夫と息子たちが暮らすオーストラリアと日本を往復しながら、タレント、エッセイストとして人気を博す。『』(新潮社)、『』(講談社)、『』(新潮社)など著書多数。

 

性教育のスタートは
幼児期の「なぜ?」をはぐらかさないこと


小島さんが性教育を始めたのは、いまから10年以上も前のこと。きっかけは、息子さんたちがまだ幼い頃、入浴中に質問してきた素朴な性の疑問だったそう。


「一緒にお風呂に入っていると、子どもたちはごく自然に『ママにはなんでちんちんがないの?』『そこはどうなってるの?』と聞いてくるんです。以前から子どもの性の疑問にはきちんと答えたいと考えていたので、ここは聞こえないフリをしたり誤魔化したりしてはいけない!と。「キミとママは身体のつくりが違うんだよ」「ここはキミが出てきた場所だよ」と一問一答を繰り返していたら、小学校半ばくらいまでには、生殖や人体の仕組みについて、すべて説明し終わっていました。」


気になる一問一答は、たとえばこんな具合。

母「ここはキミが出てきた場所だよ」
子「ええ?小さい!」
母「いいことに気づいたね!ここは広がるの」
子「広がるの〜? それで、ボクはどっから出てくるの?」
母「いい質問だね、ママの身体には赤ちゃんの部屋があるんだよ」
子「え〜、赤ちゃんの部屋にはどうやって入るの?」
母「いい質問だね〜、ママのお腹には卵の倉庫があってね。倉庫から出てきた卵に入っている設計図に、パパのところから来た設計図がくっついて、それをもとに赤ちゃんの部屋でキミの身体が作られたんだよ」


子「パパの設計図はどうやってくるの?」
母「いい質問だね、パパがママの身体に入れてくれるんだよ」
子「どうやって?」
母「いい質問だね! キミは眠くなるとチンチンが硬くなるのは知ってる?」
子「知ってる」
母「それはね、大人になった時に大好きな人のなかに設計図を届けるためにそういう仕組みになってるんだよ。人間ってすごいねぇ」
子「へえ〜!」


「肝心なのは、人体へのリスペクトを込めて語ること」と小島さん。また、2歳、3歳、5歳と年齢に合わせて伝え方を工夫することも、いい頭の体操になったと振り返ります。そして、そんなご自身の経験から、性教育は幼児期にスタートした方がいいと感じているとも。


「性教育を始めるなら、2〜5歳頃が黄金期。なぜなら、その時代はまだ性別の意識が未分化で、ジェンダー規範のようなものに縛られたり、性的なもののタブー感にも気づいていないからです。『なんでくしゃみする時は鼻がかゆくなるの?』という疑問と同じ感覚で性のことを聞いてくるうちに、恥ずかしがらずに性について話せる関係性を築いておけるといいんじゃないでしょうか。」

幼い息子さんたちとの一問一答のなかでDNAを“設計図”に見立てたのは、当時、息子さんたちがレゴに夢中になっていたからという理由もあるそう。「ウチではレゴの説明書を“設計図”と呼んでいたので。もっと小さい2歳くらいの頃は“お手紙”と言っていましたね。」年齢に合った例えを考えるのも、楽しい作業だったそう。

 

中・高の生物の授業が
性に新たな視点をくれた


“素朴な性の疑問に向き合うことが大事”と頭ではわかっていても、いざ「赤ちゃんはどこから来るの?」と聞かれたら、咄嗟にはぐらかしてしまいそうな気もします。小島さんが、最初からきちんとお子さんの性の質問に向き合えたのは、学生時代に出会った先生の影響が大きかったそう。


「中学と高校で、生物の先生にとても恵まれたんです。どちらの先生も、人体へのリスペクトをもって生殖の仕組みを教えてくれました。特に印象的だったのは、高校の生物の授業で観た、当時最先端の北欧の映像。射精により放出された精子が子宮内部と卵管を上って受精するまでのプロセスを映したもので、まず人間の営みとしてすごいし、美しいし、不思議だし、神秘的。性についてそんな風に感じられたことは、とても貴重な体験でした。一方、中学時代の先生も「キミたちは花を見て『キレイだなぁ』なんて匂いを嗅いでいるけれど、あれ、花の生殖器だからね。」なんて見方が変わるようなことを教えてくれて(笑)。


生物の授業は、私のなかにあった“性はいやらしいもの”という偏見を壊し、豊かな視点をもたらしてくれました。だから、息子たちにも性の世界をそんな風に感じさせてあげたい。そういえば、私が子どもに話す時に使った“設計図”という言葉は、中学時代の先生が言っていたこと。生物の授業は、私の性教育の雛形とも言えるかもしれませんね。」
 

ご自身がパーソナリティを務めるラジオ番組でも、たびたび性の話題を取り上げてきた小島さん。「健康情報として発信しても、『不謹慎』とか『いやらしい』というご意見がすぐに飛んでくる。これはきっと、もっと子どもの頃から正しい性の知識を身につけるべきなんじゃないかと、ずっと感じていました。」
 
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