優越感、劣等感、妬み……。2016年に実際に起こった東大生による強制わいせつ事件をもとに、誰もが持つ格差意識を生々しく描いたことで話題になっている小説『彼女は頭が悪いから』。このたび、その著者である姫野カオルコさんにインタビュー。前編記事では、作品を書きながら姫野さんが感じたことについてお伝えしました。後編では、格差意識に惑わされずこれからを生きる術について伺いましたので、是非一読ください!

姫野カオルコ 作家。1958年生まれ。滋賀県出身。1990年に『』でデビュー。『受難』『』『』など、ストーリーに関わる人物の人生背景、心情を丁寧に生々しく描写した作品で、多くのファンを獲得。2014年に『』で第150回直木賞を受賞。最新単行本化作に『』(新潮社)がある。写真提供:文藝春秋


40代はセックスを一番楽しめるときなのに……


40代女性のお悩みに、年齢による容姿の衰えへの戸惑い、夫婦関係のすれ違い、ママ友付き合いの難しさや比較のストレス、といったものが多く見られます。20代、30代までとは悩みの質が大きく変わってきて、どうしていいか分からずオロオロしてしまう、といった話も聞きます。そこで姫野さんに、「40代女性ってどいうイメージですか?」と伺ってみたところ、「一番セックスが気持ちのいいとき」という意外なひと言が返ってきました!

「人生経験が豊富で、かつ肉体的にもまだ衰えが始まっていない。心身ともに一番成熟していてセックスを楽しめるのが、40代というものじゃないかと思うんです。まさに、イイネがいっぱいつく時期(笑)。だから暇があればセックスをしたほうがいいと、私は思っています。でも40代というのは、配偶者も仕事が乗っていて忙しい時期。お互いのタイミングが合うときもなかなかないと思うので、そのチャンスを逃さないよう常に準備万端でスタンバイしておかないと! チャンスが来たらいつでも臨めるよう髪を洗って、歯を磨いて、と……(笑)。友達の素敵なSNSを見て落ち込んでる場合じゃないですよ!」


人生の確率を舐めてはいけない!


とはいえ、たまの合うタイミングも夫がその気にならず、セックスレスに陥っている夫婦も多いよう。そこから「愛されていないのではないか」「もう女として見てくれていない」と、自信を失っている人も少なくないのですが……。

 

「若い頃、『いい人いない?』と出会いを求めて合コンをした経験は、誰しもあるのではないでしょうか? 残念ながらこれがまあ、いないんですよね(笑)。その結果、女性たちは『世の中ろくな男がいない』という結論を出します。でもね、そんな数回合コンしたくらいで出会えるわけがないんですよ。そもそも合コンの場で一回会ったぐらいで、いい人かどうかも分かるものでもない。たしかに1万回合コンして『いい人いない』と言っていたら、それはそうなんだと認めますよ。夫がセックスに応じてくれないと落ち込むのは、それと同じ。40代なんて、妻も夫も一番忙しいくらいなんだから、何回かタイミングが一致しないことが続くのが当たり前だと思うんですよ。そんなふうに、人生の確率を舐めてはいけない! それって、『セクハラセクハラ言われたら何も言えなくなるじゃないか』と、すぐに答えを一つに絞ろうとするのと同じことだと思うんです」

家事に育児に仕事に親戚付き合いにママ友付き合いに……。自分が忙しいように、きっと夫も忙しい。そんな日常の行間をちょっと読み取ることができれば、夫婦関係も大きく違ってくるはず。

「ところがごくたまに、いろんなことがスッと上手くいく人がいるんです。いわゆる“例外”というものですね。その例外をクローズアップして挙げているのがSNS。私は仕事以外ではほとんどネットを見ないので詳しくないのですが、“インスタ映え”という言葉があるんですよね? それが溢れ返っているから、みんな、例外を当たり前に思ってしまって、自分は置いていかれると焦りを感じるんじゃないでしょうか。でも物事の背景や行間を読み取る体力があれば、すぐに気づけるはずなんですよ。豪華な手料理だって、こんなの絶対毎日作れるわけがないとか、あとには地味な洗いものが待っているとか……」

 
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