ブータンの町並みで特徴的なのは、ゾン、ゴンパなど、宗教的な建築物の荘厳さでしょう。国教がチベット仏教と定められているブータンにおいて、ゾンは非常に重要な場所です。寺院と市庁舎が一体となっているところなので、この国の人々は何かとゾンに足を運ぶことになります。

パロの町の高台にそびえるゾン、立派です。

私がパロのゾンを訪れた時は、赤ちゃんを抱いた若い夫婦が出生届を提出に来ていたり、緑の袈裟を纏った役人の方達が忙しそうに駆け回っていたり、凛々しい女性裁判官や、臙脂色の装束をまとったかっこいい僧侶達もたくさん見かけました。 

ゾンは回廊式の建物、中庭は広場のような役割。

非常に便利なことに、生活のありとあらゆる用事がこのゾンで一括して営まれているのです。建物が多重構造で中央に中庭のように空の抜けた場所があるため、厳かながら非常に開放的な空間です。人びとが行き交い、佇む様子は、町の中にもう一つ入れ子の町があるような雰囲気です。そして役所に行くと同時にお寺に参拝もできる画期的な仕組み!宗教が生活に密着しているという以上に、殆ど一体化しているという印象です。
ゾンはどこの町でも大抵一番大きな建築物ですが、一方で一般市民の住む民家、普通のお宅の様子も気になるところです。私が今回訪問させていただいたお宅はパロの農家で、古い建築様式を残した大きな木造建築の家でした。天井の高い作りで、3階建。外階段で二階まで上がって家に入ります。

古い民家の外観はこんな作り。一階は物置スペースです。

内部は部屋が細かく分かれているというより、大広間、仏間、台所、というように大きく区切られていて、大広間はリビングルームも食堂も兼ねた役割で、家具はソファとローテーブルが置かれていました。現代ではテーブルと椅子の生活をしている人も多いようですが、ブータンの人々は伝統的に食事は皿に盛った料理を床に置いて、料理を丸く囲むように座って食べるスタイルです。仏間は大広間と同じくらいの広さがあります。家の中で一番奥にあり、寺院と同じくらい厳かな雰囲気に包まれています。そして、いつも気になるのが台所です。このお宅はガス台、作業台、水場がずらっと横一列にあり、広々としてとても使いやすそうです。前面に大きく窓があるので光も綺麗で気持ち良い!調理器具も一つ一つ綺麗に整頓され、使い込まれていて美しい。

こちらのお宅の台所は横に長く、窓に面していて光も眺めも素晴らしい。

全ての手入れの行き届いた様子から、お母さんが大事にしてきた場所なのが伝わってきます。景観で印象的なのは山と川の織りなす自然美なのですが、それに加えて建築物の美しさもこの風景をより引き立てているように見えます。

民家の外観の装飾もゾンと通じるものがあります。色味があるのに落ち着いていて良いですね。

町の中心部ではモダンな箱型のアパートメントや中規模のビルも見かけますが、文化背景と自然が長い時間をかけて融合した伝統建築はやはり堂々としていて美しい。対峙する我々に多くを語りかけてきます。

\ブータンはこんなところ/

 

人口 71万人
首都 ティンプー(標高2334m)
面積 38400㎢
国教 仏教
言語 ゾンカ語 英語
通貨 ヌルタム(1ヌルタム=1インドルピー)


*外国人は基本的に滞在にあたり公定料金が定められている。季節により変動があり、一人旅の場合1日240から290US$

【日本からのアクセス】
タイのバンコク経由が一般的。インドの一部の都市からのフライトもあり。


ブータンについてのコラムは今回で終了です。
次回からは国内外を問わず、色々な場所で考えたこと、見つけたこと、
気づいたことを写真とともに綴っていきます。お楽しみに!