2018.6.11
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【光野桃 短期連載⑥】
メンズデザイナーから学ぶ「着回さないスタイル」

光野桃さんがミモレに帰ってきました…! 新刊の発売を記念してスタートした短期連載。おしゃれのヒントが詰まった一冊から、ミモレ読者に役立つセレブの着こなしアイデアをピックアップして掲載します。一覧ページはこちらです。ぜひご注目ください!(川良)

 

着回しをやめる


 世界で活躍する男性ファッション・デザイナーの服装に憧れる。皆、いつでも同じ格好をしているからだ。
 アルマーニしかり、ドリス・ヴァン・ノッテンしかり、トム・フォードしかり。彼らはまるで自分自身の制服のように、ネイビーか黒のジャケット、白のシャツかTシャツ、ネイビーか黒のスラックス、デニム、シンプルな靴といったいでたちで登場する。
 もちろん、素材もパターンも少しずつは変えているのだろうけれど、概ね印象は十年一日のごとく。それがとても格好よく、心地よさそうに感じられる。もっとも動きやすく、見た目もうるさくなく、でもきちんと見せてくれる服、皮膚のように馴染んだ着こなしを確立しているということは、おしゃれの抱えるさまざまな「心配事」から解放され、やるべきことに集中するための、プロの身支度だ。
 その反対が「着回し」だろうか。もちろん着回す必要性も楽しみもある。しかし、寄せては返す波のように着回していても、結局最後は何も残らないのではないだろうか。実際、たくさんのコーディネイトが可能な服はそう多くないし、あるとしたら、結局、何ともコーディネイトできない中途半端な服なのかもしれない。
 コーディネイトする必要のない、土台だけ、のようなスタイル。それは時間とともに馴染み、皮膚のように自然に、あなたに寄り添うだろう。

(光野桃『白いシャツは、白髪になるまで待って』より引用)

 

 

<新刊紹介>

光野桃 著(幻冬舎)定価1300円(税別)

「60代になって、びっくりするほどおしゃれが自由に、楽しくなった」。そう語る光野桃さんが「年齢を重ねてからの80のおしゃれのヒント」を本にまとめました。それらは「ベージュには黒」「陰影をブルーで着こなす」「毎日デニムとローファーだけで」「あえてノースリーブを着る」「変わりたいとき、メガネを変える」など、実際に毎日の着こなしに役立つものばかり。決して「こうしなくてはならない」というものではなく、「こっちのおしゃれも楽しいですよ~」手招きしてくれているよう。40代の「おしゃれと生き方の
トンネル期」を抜けた先には、こんなに爽やかで自由な未来が広がってくるのかと思える一冊です。


特別寄稿/光野桃 
構成・文/川良咲子(編集部)
写真/アフロ