こんにちは、ミモレの川端です。
引き続き、私からは映画話を。日本公開(3月30日)から少し時間が経ってしまいましたが、ぜひ観ていただきたい映画(スティーブン・スピルバーグ監督作)をご紹介します。

アメリカ初の女性新聞発行人であるワシントン・ポスト紙のキャサリン・グラハムをメリル・ストリープ、同紙の編集主幹ベン・ブラッドリーをトム・ハンクスが演じています。意外なことに2人は初共演なんだとか! THE POST, l-r: Tom Hanks, Meryl Streep, 2017. ph: Niko Tavernise. TM and copyright ©20th Century Fox Film Corp. All rights reserved/courtesy Everett Collection. 写真:Everett Collection/AFLO

舞台は、ベトナム戦争が泥沼化していた1971年。アメリカ国民に政府に対する不信感と反戦ムードが募っていた中で、ベトナム戦争を分析・記録した国防省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の極秘入手に成功したワシントン・ポスト紙。戦況が厳しいことを政府は把握していたのに、若者たちを戦地へ送り続けていたのでは?? 最高責任者であるキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)は、それを世に出すか、出さざるべきか、社運をかけた決断を迫られます。

スピルバーグ監督は、いくつかのインタビューで「これはリーダーシップの物語だ」と答えています。「リーダーはどう生まれるか? 決断を下すことに前向きではないリーダーを前向きに変化させるようなひらめきは、どういうものだろうか?」……キャサリン・グラハムの変化を描きたかったと語っています。

父親が経営していた新聞社を、夫が亡くなったために急に経営トップとして引き継がなくてはならなくなった元主婦のグラハム。映画の前半では、気の乗らない政治的な会合や、大勢の前で演説をしなくてはいけないことに気が重そうなんですね。

そして「これだから女は」とか「女にはどうせ決められない」とイジワルする役員のおっさんたち(ほんと腹たつわ〜)。

世紀の大スクープを前に、大統領を敵に回すのか、報道の自由を守るのか、(おっさんたちに“決断できるものなら決断してみろや”と見守られる中)グラハムが下した決断とは……。

いやあ、このシーンのメリル・ストリープが本当にすごい。スピルバーグが描きたかったことってこういうことだたんだなあ、というのを完璧に体現しています。リーダーの自覚が出て急にひとが変わった、ということじゃなくて、彼女自身にもともとあった責任感とか、世を正したい強い気持ちとか、そういうものがカラを破って出てきた、みたいな感じがすごく出てました。

メリル・ストリープの60〜70年代の女性キャリアのファッションも素敵です。THE POST, Meryl Streep, 2017. ph: Niko Tavernise. TM and copyright ©20th Century Fox Film Corp. All rights reserved/courtesy Everett Collection. 写真:Everett Collection/AFLO

実は、スティーブン・スピルバーグ監督は、VRの世界を描いたSFアクションの超大作に取り掛かっていたのに、一時中断してまでこちらのの監督を引き受けたんだそう。それはなぜなのか……。

先日、訪れていたテキサスのSXSWではのほうの先行上映会が開かれ、スピルバーグ監督本人もサプライズ登場して、大変な盛り上がりをみせていましたー。

監督は、トランプ政権就任45日目に、この映画を撮る決意をしたとインタビューで答えていました。フェイクニュースの氾濫や、政治トップによるメディア干渉など、今のアメリカの状況とベトナム戦争下の状況を重ね合わせ、今こそ世に「報道の自由」を問わなくてはならないという思いから決意したのだとか。

私は、この映画を見て、日本の今の状況も似ているなあと思いました。議事録や日誌が残されていないわけがないのに、破棄した、覚えてないと平気で嘘をつく政治家たちとメディアへの圧力、セクハラ。南スーダンの状況を記述した日誌が隠蔽された経緯と、ペンタゴン・ペーパーズの存在はとても似ています。

スピルバーグ監督が引き受けた勇気と行動に感動するとともに、主演の2人初め出演している俳優さんたちも、急なスケジューリングでも引き受けた決断と結束があったのかなあと想像しました。

グラハムほどの局面に立たされることは、今の私(っていうかこの先もなさそうですが……)リーダーシップの見せどきは大なり小なり訪れます。日々、大小たくさんの決断を迫られるミモレ世代の女性のみなさんは、深い共感と奮い立つ勇気を感じていただけるのではと思うのです。
(イジワルおじさんがメリルにピシャッとやられるところは本当に痛快です^^)

ではではまた〜!